建物の外壁を見てみると、「つや」があり光って見える壁と、「つや」はなく落ち着いた印象を受ける壁がありますよね。
この違いは職人の塗り方などではなく、塗料によるものだということをご存じですか?
今回は、「つや有り塗料」と「つや消し塗料(マット仕上げ)」についてお話します。
つやの度合いは、塗料に含まれる成分によって変わるわけではありません。実は、私たちの目に入ってくる光の量によって変わります。
外壁が光を正反射(一方向からの光が別の一方向に反射する)して私たちの目に入ってくる光の量が増えれば、光って見えます。
反対に、外壁が光を乱反射(光がいろいろな方向に反射する)して私たちの目に入ってくる光の量が少なくなればつやは見えなくなりです。
つまり、目に入ってくる光の量とまぶしさによってつやの度合いが変わる仕組みなのです。
塗料の多くは、つやを出す性質を持っています。そのため、つや消し塗料は純粋な塗料につやを調整する添加物を加えてつくります。
添加物で塗膜に細かな凹凸をつくり、それで光を乱反射させることでつやを消すのです。
塗装業者の多くは、つやの度合いによって、
「つや消し(マット仕上げ)」
「3分つや」
「5分つや」
「7分つや」
「つや有り」
という分け方や表現をします。
知っておきたいのは、つや消し塗料は純粋な塗料に添加物を加えているため、塗料の強度が落ちることです。
つや有り塗料に比べて2~3年塗膜の劣化が早いと言われています。
●つや有り塗料
【メリット】
・光沢によって、新築のような輝きが出る。
・サイディングの凹凸が強調され、美しく見える。
・塗料に添加剤を混ぜていないため、塗料本来の強度が出る。
【デメリット】
・塗膜の耐久性10年に対し、つやが無くなるのは早い。年数が経つにつれ、つや無しの状態に近づいていく。
・「目立つ」「眩しい」と感じる人もいる。
●つや消し塗料
【メリット】
・高級感のある落ち着いた仕上がりになる。
・日本風の邸宅や意匠性のある外壁の見栄えをよくする。
【デメリット】
・添加物でつやを調整している場合、耐久性が下がることがある。
・汚れが付着しやすい。
塗料の選び方は、何を重視するかで変えることをおすすめします。
機能性を重視するなら、塗料本来の強度が出る「つや有り塗料」の方が良いでしょう。
見た目を重視する場合、ご自身の好みを大切にしてください。ただ、イメージで決めるのではなく、可能なら施工業者に頼み実際に施工した現場を見てください。「つや有りがいいと思っていたけど、少しつやを抑えたほうが良さそう」「つや無しがいいと思っていたけど、物足りないかも…」など考えることがあると思います。現場に行けたら、日なたと日陰で受ける印象の違いも確かめてみてください。
打合せ時に業者がサンプルを見せてくれた場合は、必ず屋外で見てください。つやは光の加減によるものなので、太陽の光が実際にあたる場所でどのように見えるかを確認してください。
つやの度合いを希望通りにするには、業者と認識のズレを出さないことも重要です。
施工現場を案内してくれる、サンプルを屋外で一緒に見るなど真摯に対応してくれる業者に施工をお願いできるのが理想です。
また、添加物を入れた塗料は、標準的な塗料より扱いが難しくなります。
均一な膜をつくる技術はもちろん、終日塗料の管理を怠らない、
つや引け(光沢がうまく出ない)・かぶり(塗装面が白くなる)が起きないように施工スケジュールをしっかり管理するなど、
より一層ていねいな仕事が業者には求められます。
じっくりと業者と塗料を選び、希望の外壁を手に入れてくださいね!