タイル外壁の補修

2023/12/18

外壁タイルには20~30年もの耐久性があると言われます。ただ、経年劣化は避けられず、点検・補修は欠かせません。
タイル外壁で多い「浮き」には「ピンニング」という補修を行います。

タイルは、仕上がりがきれいで耐久性が高く、優れた外壁材ですが、太陽の熱、気温の上がり下がり、地震・風圧など自然の変化の影響は避けられず、劣化していきます。タイル外壁でよく起きるのは浮きや割れです。こうした症状があると、内部に雨水が侵入し続け、タイルの剥がれが進んでしまいます。

長く放置していると、少しずつ躯体を傷め、家の寿命を縮めることにもなりかねません。また、タイルが落下した場合は人命に関わる事故につながってしまうこともあり得ます。10~15年したらタイルに浮きや割れがないか、雨漏りがないかなどの点検をし、症状に適した補修をする必要があります。タイルのメンテナンス・補修には次の方法が考えられます。

美観を取り戻すために、タイル専用の薬剤で取りづらい汚れを取ります。酸洗いとも呼ばれます。

タイル自体には工事を施さず、防水効果のみ保つために目地のみを補修するケースもあります。

タイルの浮きや割れがあった場合は、張替を行います。外壁そのものの機能が向上することはありませんが、美観を取り戻すこと、落下を防ぐことができます。

タイル外壁は躯体コンクリートの上に下地モルタル、そしてタイルが重なってできています。タイルだけが浮いているのではなく、下地モルタルから浮いている場合、「アンカーピンニング工法」で補修をします。

これはネジやクギに似たアンカーピンと接着剤として高い能力を持つエポキシ樹脂でタイルを固定をする工事です。

樹脂を内部に注入するため、浮いている面積が広がるのを抑えることができ、耐久性を取り戻せます。地震時のタイルの落下対策として工事をする方もいらっしゃいます。タイルの張替に比べて工期は短く、工事費を節約できるのも特長です。同じタイルが用意できず、張り替えた部分だけ色が違ってしまうようなことも起きません。

1 補修範囲の確認

テストハンマーなどで打診し、音の違いで浮きの状況を確認して改修をする範囲を決定します。

2 マーキング

アンカーピンの位置と本数を決め、穴を開ける目地部分にマーキングをしていきます。位置と本数は施工者の考えにより多少異なりますが、剥がれ落ちる危険性を低くするための規定をベースにします。

3 アンカーピン挿入口をつくる

コンクリート用ドリルを使い、アンカーピンを固定するための穴をマーキングした部分に開けていきます。構造体コンクリート30mm 程度の深さに達するまで深く開けます。

4 穴の内の清掃

ブラシやエアーダスター等で穴から切粉などを取り除き、きれいにします。

5 注入材の準備

注入材であるエポキシ樹脂を混ぜ練ります。

6 注入

開けた穴にエポキシ樹脂を充てんします。一番深い場所から埋めていきます。

7 ピンニング

アンカーピンを挿入します。このとき、気泡が入ると固定する力が弱まってしまうので注意をします。

8 パテ仕上げ

パテ状エポキシ樹脂で表面を整え、仕上げます。

9 養生

樹脂が硬化するまで養生をして、雨や衝撃から守ります。夏は15 時間程度、冬は24 時間程度養生をします。

10 検査

注入部以外に付いた材料は、除去しきれいにします。その後、テストハンマー等で打診して注入状態を確認します。


タイル外壁では、目視で問題がなくても、内部で剥離が起きていることは珍しくありません。

「きっと大丈夫」と思わず、定期的にプロの点検を受け、建物の寿命と周囲の安全を守ってください。