屋根塗装工事 ~タスペーサー取付のメリットとデメリット~

2023/11/14

屋根塗装の見積書を見ると、「タスペーサー」という項目があるかもしれません。

「これって何の料金?」と思いますよね。今回はスレート屋根の塗装に欠かせない「タスペーサー」についてお話しします。

スレート屋根には「縁切り」が必要

スレートは主成分がセメントの薄い屋根材で、日本国内の住宅の約8割に普及しているといわれます。

“カラーベスト”や”コロニアル”がその代表的な商品名です。

スレート屋根を見ると、板と板の重なり目に隙間が開いています。これは屋根材の下に入ってしまった雨水を排出させるためのものです。普通の雨なら雨水が入り込むことはありませんが、大雨や台風で横殴りの激しい雨が降ったりするとどうしても雨水は入ってしまうため、隙間をつくり、排水できるようにする必要があります。

隙間といっても2,3ミリしかないため、屋根塗装をすると塗料で隙間を埋めてしまうことがあります。そのままにしておくと、排水ができず、雨漏りや内部結露を引き起こしてしまいます。そこで、屋根塗装時には屋根と屋根の間に隙間をつくる作業「縁切り」をします。カッターやヘラを使って手作業で行う方法と、タスペーサーと呼ばれる部品を設置する方法があります。

従来の縁切り方法はデメリットが多い

カッターやヘラを使う縁切りは、くっついた屋根を一枚一枚切っていくとても地道な作業です。一般的な戸建ての縁切りをするのに、職人2人でも半日ほどかかり、時間と労力がかかる上、リスクもあります。

◆せっかく塗装した部分を工具で傷つけてしまう

◆塗装後に屋根に上がって作業をするので、足跡がつく

◆縁切りをしても塗料同士が再度密着して、隙間が埋まってしまう

などの可能性が考えられます。
また、屋根という普段は見えない場所の作業なので、省略してしまう業者もいます。そこで開発されたのが「タスペーサー」です。これは縁切り作業を、簡単かつ確実に行うために開発された部材です。

タスペーサーで労力と時間を削減

タスペーサーでの縁切りは、下塗りが完了した時点で屋根と屋根の間に差し込んでいくだけで完了します。一般的な戸建てなら約2~3時間で作業は終わります。カッターによる縁切りと比べて、労力も時間も削減できるので、職人にとっても施主にとっても理想的な道具だと言えます。

タスペーサーには次のメリットもあります。

◆下塗りの段階で差し込むだけなので塗装を傷つけない

◆塗装後に屋根の上にあがる必要がないため、屋根に足跡がついたり、屋根材を割ってしまったりする心配がない

◆タスペーサーは塗装がよくなじむため目立たない

差し込むだけなのに、簡単にとれないのもタスペーサーの優れている点です。タスペーサーを差し込んだ後、上塗りの塗料により固定されるので、抜け落ちることはほとんどありませんし、建材試験センターの風速実験では風速50mの状態でも飛んでいかないことが確認されているそうです。



タスペーサーを使わないケースもある

タスペーサーは必ず使うわけではありません。
まず、屋根と屋根に3mm以上の隙間がある場合、そもそも縁切りが必要ないため、タスペーサーを使いません。1軒の家においても、状態に差があり、紫外線の当たる方角の屋根は反ってくるので自然と隙間が空きタスペーサーは不要、他の方角の屋根には隙間がないのでタスペーサーが必要ということもあります。また、スレート自体の劣化が激しい場合や、屋根材の下にある野地板が劣化している場合、タスペーサーを差し込むことで屋根材を傷めるリスクがあるので使用しません。

こうした理由から、スレート屋根の塗装であっても見積書にタスペーサーの項目が入らないこともあります。一方、スレート屋根ではない、築年数が経過していて屋根材の劣化が予想できるのにタスペーサーの記載があったら注意!業者に確認をすることをおすすめします。

縁切りが必要か、タスペーサーが使える状態かどうかは、屋根の状態を実際に見てみなければわかりません。まずは現地調査をしっかりとしてもらいましょう。