塗料を深堀!樹脂に違いや原料について

2023/6/23

塗料は年々進化しています。

塗装の打合せ時に、ある塗料を薦められると「それがいいのか」と感じますが、納得できる塗装工事になるとは限りません。

大切なのは、塗料の基本の知識を持っておくことだと思います。
その知識を活かして自分の考えに合った塗料かを見極めることで、納得できる工事になるはずです。


塗料の違いは樹脂の違い

塗料は4つの成分でつくられています。

顔料……色をつくる粉末

合成樹脂……塗膜を固める成分

添加剤……防カビなど塗料の性能を上げるための補助の薬剤

溶剤……塗料の粘度の調整剤。塗膜乾燥時に揮発する


4つのうち、「合成樹脂」の違いが、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素などの塗料の種類につながります。

アクリル合成樹脂を入れたものがアクリル塗料、ウレタン合成樹脂を入れたものがウレタン塗料と呼ばれます。

近年は、耐久性と価格のバランスから、シリコン樹脂を入れたシリコン塗料、フッ素樹脂を入れたフッ素塗料での塗り替えが主流です。


耐久性で選ぶなら「フッ素樹脂」

「フッ素」は、フッ素入り歯磨き剤、フッ素加工フライパン……など身近に聞く言葉だと思います。
なんとなく良いイメージを持っている方は多いでしょう。フッ素の原料は蛍石という珍しい石です。
それをもとにした長年の研究からフッ素樹脂がつくられました。


【フッ素樹脂の主な特性】

熱に強い……融点(固体から液体になる温度)は200度以上。樹脂の中で最高クラスの耐熱性をもちます。

摩擦に強い……原子間の結合が強いため、摩擦に耐えられます。

耐候性に優れる……屋外で長時間使用しても特性が落ちないことが証明されています。

非粘着性をもつ……物質が付きにくい表面をしています。

(フッ素加工のフライパンを使った時のことを思い出してください!)

他には、薬品に強い、燃えにくい、電気を通さないなどの特性があります。
フッ素樹脂は過酷な環境に強いため、さまざまな分野で重宝されています。


「フッ素塗料」は、こうした特性をもつフッ素樹脂が入っています。そのため、

・色やツヤの持ちがいい

・汚れが付きにくい

・防藻・防カビ性がある

・塩害や酸性雨にも強い

など、優れた塗耐久性を持つ塗料と言えるのです。


知っておきたい「無機塗料」

樹脂でできた塗料を「有機塗料」と呼ぶのに対し、鉱物やガラスなどの無機物(炭素を含まないもの)でつくられた塗料を
「無機塗料」と呼びます。有機物は必ず劣化するため、有機塗料の経年劣化は避けられません。

一方、無機物は半永久的なものです。そのため、無機塗料も劣化にとてもつよいと言えます。
しかし、100%無機物では塗料はつくれないため、無機塗料にも有機物の成分が入っています。

半永久的に劣化しないわけではありませんが、無機物の耐久性が活かされた塗料です。


【無機塗料の主な特性】

・雨や紫外線の影響を受けにくい

・カビやコケの発生を抑えやすい

・表面に汚れが付いても、雨水で洗い流せる

・静電気が起きにくいので、ホコリなどを寄せ付けにくい

・有機塗料と比べて燃えにくい

打合せ時、「シリコン塗料やフッ素塗料以上に耐久性があります」と業者に無機塗料を紹介されることがあるかもしれません。

無機塗料はよい塗料ですが、有機物の含有量が定められているわけではないため、良いものと悪いものが存在します。
疑問が残る場合は、どこのメーカーのものか尋ねてみてもよいでしょう。

塗料選びは工事の満足度に大きく影響します。

知識をつけ、信頼できる業者を選び、質問をしたり、不安に思う点を伝えたりしながら、進めてくださいね。