塗る箇所と塗らない箇所

2023/4/27

お客さまのお宅へ打ち合わせに伺うと、「ここも塗装できる?」といろいろな箇所のご相談を受けます。お客さまのご要望にはできる限り応えたいのですが、家や庭には「塗装しない箇所」があります。そこで、塗装する箇所と塗装しない箇所についてお話しします。

塗装する箇所と塗装しない箇所は、何の素材が使われているかで決まります。

■塗装する箇所

サイディング……外壁素材の一種で、壁材シェアの約80%を占めます。セメント・砂が原料の窯業系サイディングボード、トタン・ガルバリウムなどの金属が原料の金属系サイディングボード、木材が原料の木質系サイディングボードがあり、すべて塗装できます。

…門扉・フェンス・ガレージ・物置・鉄骨・階段・手すりなどさまざまな場所に鉄があります。鉄部の塗装では、錆止め塗料や上塗り塗料の性能よりも、剥がれかかっている古い塗膜や錆を落とすケレン作業が大事です。ケレン作業をていねいに行うことで塗膜の耐久性は高まります。

プラスチック…ベランダのデッキ、窓枠、雨どいなどに使用されています。例えば雨どいは、経年劣化でしなりが悪くなると、割れてしまい、雨を流せなくなってしまうことがあります。サンドペーパーで下地に念入りに目粗しをし、表面を細かいざらざらした状態にして塗料の付きをよくします。

セメント…外壁や屋根はもちろん、破風板(屋根の切妻部分で、屋根の内部に雨水が侵入するのを防止している)などにも使われています。セメントは雨にさらされ続けると表面がぼろぼろになってはがれていたりするため、塗装で防水効果を持たせる必要があります。

木材…ベランダやフェンス、戸袋(雨戸を開けた時に収納する場所)など木材もさまざまな箇所に使用されています。木はもともと天然のものなので、燃えやすい、割れやすい、腐りやすい、虫に食われやすいといった特性があります。これらを補うために塗装をします。

ALC(軽量気泡コンクリート)…普通のコンクリートに比べると軽く、建物全体を軽量化できるため、外壁や屋根に使用されています。遮音性・断熱性・耐火性に優れていますが、防湿性・防水性には弱いので、防水するために塗装が必要です。

ケイカル板…主原料は水酸化カルシウムで、耐火断熱が特徴です。主に使われるのは軒天(建物の壁面より外側に出ている屋根の端部)。外壁にも使われます。時間が経つと汚れが目立つようになることに加え、徐々に水を吸っていき劣化してしくため、塗装をします。


塗装しない箇所

主に2つの素材があります。アルミと銅です。

アルミ…窓サッシやシャッターによく使われています。アルミ表面には保護するための処理が施してあるため、他の建材よりも劣化しにくい特長があります。この処理の影響で、塗料の密着が悪く、浮きや剥がれがすぐにでてしまい、長持ちしません。そのためアルミは基本的には塗装をしません。

シャッターは、上記の理由に加え、塗装した分の厚みが付いて開閉ができなくなって故障する恐れがあるといった理由で、塗装はおすすめしません。ただ、シャッターボックスの多くはスチール製なので塗装はできます。

…ひさしや屋根の水切り(外壁などを伝う雨水が建物の内部に浸入することを防ぐ部分)に使われていることがあります。銅は金属なので時間が経つと酸化します。酸化しきって緑青となると腐食などが起きなくなり、高い耐久性を持ちます。メンテナンスフリーといえる状態になるので、銅に塗装は必要ありません。

塗装する箇所としない箇所は、素材によって判断できますが、「いまいち素材がわからない!」という方が大半ではないでしょうか?でもご安心ください!プロの業者は何の素材かがわかるので、見極めて塗装の可否を判断します。塗装したい箇所があったら、まずは相談してみてください!