世界と日本の塗料

2023/4/6

みなさんは塗料選びで大事なことは何だと思いますか?
防水力だと考える方は多いと思います。

私たち業者も防水は大切だと考えます。日本には四季があり、1年の降水量は世界平均の約2倍に相当するというデータもあるのですから、水分を建物内部に侵入させない塗膜でなければいけません。

一方で世界に目を向けると、いろんな価値観のもとで塗料はつくられています。今回は世界と日本の塗料についてお話します。


色は日本の100倍!

塗料の売り上げを世界規模で見ると、常にアメリカやヨーロッパの企業が上位に入ります。これらの国の塗料には、色の種類がとても豊富という特徴があります。

日本には、高度成長期にできた「古い家に住みたくない」という価値観が残っています。一方でアメリカやヨーロッパには「古い家は歴史のあるすばらしい家」という価値観があります。家を建て替えるサイクルは、日本は約30年ですが、アメリカは60年から100年、ドイツは80年、イギリスは130年くらい。この間、住人たちは、塗装によって歴史ある家をより自分好みにして暮らしを楽しみます。

また、アメリカでは住宅売買の8割が中古住宅で、メンテナンスが行き届いた物件は新築と変わらないような価格で取引されているそうです。塗装をして家を良い状態に保っておこうという意識を持っている人は多くいます。

こうした理由から、アメリカやヨーロッパでは塗装への関心が高いため、塗料の消費量が多いだけでなく、多彩なのです。ひとつ色でも濃淡や風合いなどが少しずつ異なる塗料がたくさんあります。また、日本ではあまり見ない色も揃っています。例えば、植物との調和やエコをイメージさせるグリーン系、希望・平和や自然をイメージさせるブルー系の需要も高いそうです。


価値観を「安全」に置く塗料

海外では自然由来の塗料も人気です。この分野で進んでいるのはドイツです。

ドイツには、早くから国を挙げて環境問題に取り組んできた歴史があります。今では世界でも特に環境問題に積極的なエコ推進国です。塗料に関しても、自然環境にも人間の体にも負荷をかけない、子どもたちのおもちゃにも安心して使えるといった点が重視されてきました。こうしてできたのが自然由来の塗料でした。主成分原料に、亜麻仁油やひまわり油など植物油を使うなどして安全を守っているそうです。一般的な塗料に比べ耐久性では劣ってしまいますが、安全という価値で評価されているのですね。


伸縮性が抜群!!

オーストラリアの塗料には、伸縮性に非常に優れているという特徴があります。

オーストラリアは自然豊かで穏やかな国のイメージがあるかもしれませんが、実は自然環境は過酷!紫外線は日本の3~5倍高く、乾燥、豪雨、塩害などの被害は絶えません。人にとって過酷な環境であるということは、塗膜にとっても過酷で、非常に劣化しやすい環境と言えます。そこで塗料の伸縮性を高めて、塗膜を長持ちさせる工夫をしているのです。


質が高い日本の塗料

では、日本の塗料の特徴はなんでしょうか?私は、日本の自然環境や建物を研究した結果がつまっていて、専門性や機能性が高いことだと思います。DIY文化が強い海外と異なり、日本ではその道のプロである職人が施行します。そのため日本の塗料は、質の進化を遂げているのではないかなと思います。

こうして比べてみると、塗料には地域性があって結構おもしろいなあと思いませんか?近年では海外進出をする日本の塗料メーカーが増えています。さまざまな国の価値観にあった塗料を開発することは、日本の塗料の質も高めてくれるはず。今後、どんな塗料が出てくるのか、楽しみです!