***塗料の撥水性と親水性の違い***

2022/11/26

前回に引き続き、「塗料」のお話をします。

塗料によって塗膜が持つ機能は変わりますが、

「撥水性(はっすいせい)」と「親水性(しんすいせい)」があるのはご存じですか?

この2つは、真逆の性質を持つため、機能は大きく異なります。

では、ご紹介します!

塗料の撥水性と親水性の違い

撥水性(右)と親水性(左)の違いイメージ

撥水性塗料

「撥水」とは「水をはじく」という意味です。

植物の葉の上をきれいに丸い水滴がすべり落ちていくところを見たことはありますか?

また、車のフロントガラスに“撥水コーティング”をすると、ある程度のスピードで走れば

ワイパーなしでも雨滴がガラス表面から飛んでいくのを見たことがある方は多いでしょう。

これらが「撥水」です。

撥水性の塗料には、塗膜表面で水滴をはじく機能があります。

【メリット】

・雨水が壁に染みわたることがない

・雨水と一緒に汚れなどもはじける…もちろん雪もはじきます。

 雪に含まれる泥やホコリなども外壁に付着しにくくなります。

・水分を栄養源とするカビやコケなどが生えにくくなる

・打ちっぱなしのコンクリートや固定用のボルトなどサビやすい素材が使われている場所を

 保護できる…撥水性塗料を染み込ませて保護すると、雨の侵入を防ぐことができるので、

 コンクリート内部にある鉄筋などがサビてしまうのを防げます。

 素材の劣化が進まないようにしたりすることもできます。

【デメリット】

・外壁内部の通気性が悪くなるため、内部に結露が生じることがあり得る

 …ただし、デメリットをカバーする特長を持たせた撥水性塗料も開発されています。

・汚れが積み重なってしまうと落ちづらい

 …雨が降っても汚れの上を水滴は転がっていってしまうので、

 汚れが積み重なると落ちにくくなります。

・油やサビ、薬品などを弾く力はない

 …例えば排ガスの影響を受けた汚れなどは残りやすい傾向があります。

【おまけ情報】

撥水性塗膜は親水性塗膜に比べ、艶が少ない仕上がりになります。

落ち着いた雰囲気になるので、和風住宅との相性はバッチリです。

親水性塗料

「親水」というのは「水に馴染みやすい」性質のことを言います。

「水を吸収する」という意味ではありません。親水性の塗料を壁に塗ると、

壁にぶつかった雨滴はそのまま薄く広がって流れていきます。

これにより、汚れを洗い流すことができます。“セルフクリーニング機能”を持つといえます。

ウレタン塗料やシリコン塗料、フッ素塗料、さまざまな種類の塗料に親水性の高い製品はあります。

近年注目されている光触媒塗料も親水性です。

【メリット】

・降雨によって汚れを洗い流すことができる

・塵やホコリ、油汚れも雨滴と一緒に流せる

・親水性の効果は、塗料の耐用年数と同じ期間持続する

 …塗料の機能は、経年で薄れてしまうということがよくありますが、親水性は継続します。

【デメリット】

・雨が降らない限りは汚れが落ちない

 …雨が一定量以上降ったとしても、雨が掛かからないように作られている軒下の汚れは落とせません。

・雨が降らない場合は、壁を水で軽く流すなど、メンテナンスしたほうがよい

【おまけ情報】

塗装業者の中には親水性塗料の

「汚れを洗い流せる」機能を「低汚染」という言葉で説明をする人もいます。

雨滴を「はじく」「広げる」の違いはどうして起きるの?

そもそも、雨滴「はじく」か「広げる」かは、水が接触する面の違いによるものです。

平らな面に雨滴が落ちれば、水はひろがっていきます。

一方、凹凸がある面に落ちると、雨滴が接せる面は少なくなるので、はじかれます。

これは、塗料がどんな壁と相性がいいかにつながります。

例えば、砂壁調やコテ塗り調の外壁は凹凸があるので撥水性の方が合っていると言えます。

撥水性塗料と親水性塗料を使い分ければ、よりよい状態をキープしやすくなります。

業者と相談をし、ご自身の家にふさわしい塗料を選んでくださいね!