***防水工事②*** ~防水工事の種類と特性~

2022/10/17

~防水工事の種類とメリット・デメリット~


【 ウレタン防水 】

液体のウレタンを塗膜することによって防水層を形成する工法で、防水工事の中でも最もポピュラーな工事です。
防水層が軽量であり建築物に負担をかけない点と、施工場所の形状が複雑でも、
簡単かつ確実に施工できるのが特徴です。

〇メリット
・改修工事として簡単な工事であり、工期も短く済み、コストも安く済む。
・下地の形状に馴染みやすく、シームレスな防水層ができるので、屋上やベランダなど施工場所を問わない。
・臭いや熱の発生、撤去する廃材もないので、環境にも優しい。
・既存の防水層があってもその上から塗ることができ、
また高性能のウレタンを重ね塗りして弾性を高めることも出来る。

✖デメリット
…短所らしい短所はありません。あえて挙げるならば
・人の手で塗るため、完全に均一にはならない。 くらいです。

【 シート防水(ゴム) 】

屋上防水工事によく使われる防水工法です。
ゴムシート防水はゴムシートを接着材を用いて下地に固定する工法になります。
シートそのものは伸縮性が高く、耐候性にも優れますが、シート同士の接着は接着剤と粘着テープによるので、
溶融一体化しないという特徴があります。また厚みが薄いのでやや損傷しやすいのも特徴です。
しかしコスト面で比較的安価であり、手軽にでき短工期で済む工法なので、
目立ちにくいところの工事や応急処置としては、最適な防水工事と言えます。

〇メリット
・温度による物性変化が少ないので、施工地域による制約も少なく、耐用年数も長い。
・ゴムシートを接着剤と粘着テープによって貼り付ける工法なので、短工期・低コスト。
・軽量なので、木造建築にも向いている。上から保護層として塗装材を厚塗りすれば、軽歩行も可能。

✖デメリット
・ゴムシート防水は、しっかり接着するために下地が平らである必要があるため複雑な形状には向いていない。
・シート同士を貼り合わせるので、接着剤の性能がそのまま防水の性能となる傾向があり、
接着剤の耐用年数が問題になる。
・紫外線でシートが次第に劣化していき、またシート自体が薄いため、鳥害や衝撃に弱い。
・接着剤や素材自体に化学物質を使用するので、シックハウス(発生する化学物質によっておこる健康被害)に
注意する必要がある。

【 シート防水(塩ビ) 】

塩ビ(塩化ビニール)シートは仕上がりが美しく、ゴムシート防水に比べ優れた耐久性があり、
長期にわたり、防水工事施工時の状態・鮮やかな色彩を保ちます。
防水シート間のジョイントは、薬品・もしくは熱で溶かし一体化させる処理を行うので、
長期間優れた耐久性を保ちます。また意匠性に優れ、色や模様がプリントされたシートもあります。

〇メリット
・紫外線・熱・オゾンに優れた耐久性を持っている。
・高い伸縮率と耐摩耗性を持っているため、保護層なしで軽歩行が可能。
・鳥害も受けにくく、鳥のついばみによる穴開けも発生しにくい。
・シートは柔らかく曲げやすいので、施工しやすく、短工期・低コスト。

✖デメリット
・ゴムシート防水と同様にシートを使用するので、下地が平らである必要がある。
・シート同士の接合が接着剤でうまくいかない場合は、熱風で溶かして溶接する必要がある。
・塩化ビニールはもともと硬い素材で、柔らかくするために「可塑剤」が添加されているが、
それが気化してしまうと硬くなり、割れやすくなる。

【 FRP防水 】

FRP防水は、最近注目されている防水材です。
強度が高く耐久性に優れたFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を応用し、被覆防水層を形成する工法です。
防水層は軽量かつ強靭で、耐水・耐食・耐候性に優れていることが特長です。
従来の塗膜防水に比べ硬化時間が極めて早いことを特徴とするため短い工期で施工することが出来ます。
ただ施工中(樹脂が硬化するまでの間)は、臭いが周囲に広がることがあるので、臭気対策が必要です。

〇メリット
・ガラス繊維で補強されているので軽量ながら強靭で耐久性に優れ、重歩行や車両の走行も可能。
・様々な形状に施工でき、継ぎ目のないシームレスな層を形成できる。
・下地への密着性が強いので防水性に優れ、下地の膨張・圧縮にも剥離の心配は少ない。
・硬化速度が速いので、施工も一日か二日で完了します。さらに保護層が不要で、建物自体を軽くできます。

✖デメリット
・紫外線が長期間当たると、劣化してヒビ割れてしまうことが最大の欠点。
定期的にトップコートを塗り替える必要がある。
・伸縮しにくいので、地震などで建物が揺れた場合も、ヒビの危険性がある。
・また施工(硬化)の際に化学物質が発生するので、臭気対策をする必要がある。

【 アスファルト防水 】

アスファルト防水とは、合成繊維不織布にアスファルトを含ませコーティングした、
シート状のルーフィング(防水材料)を貼り重ねて形成する工法です。
アスファルトを高熱で溶融し、シートを複数枚交互に積層する熱工法や、
トーチ工法、常温工法などいくつかの工法があります。
いずれも、防水層が厚く連続しているため、施工のばらつきが少なく、信頼性の高い工法です。
一般の住宅というよりは、ビルや集合住宅などで採用されています。

〇メリット
・歴史が古く、信頼性が高いところです。
・アスファルトを染み込ませるので、防水性能を確保しやすく、コストもそれほどかからない。
・防水層が厚く連続するので、水密性が高い。
・他の工法よりも耐用年数が長いので、メンテナンスの回数を減少させることができる。

✖デメリット
・高熱で溶かす必要があるのでその際危険があり、工事中に臭いが発生するため施工場所を選ぶ必要がある。
・幾層も重ねた上にアスファルトを流す手間もかかるので、工事の手間が多くなる。
・上を歩く場合、露出したままにはいかず、上に保護モルタルを貼る必要がある。
・屋根が重くなってしまうので、木造建築には向いていない。
・紫外線が当たると硬化して劣化していくので、それを防ぐために保護が必要。