***外壁塗装入門*** ~劣化箇所のチェック②・外壁の種類~

2020/6/28

ー外壁の種類ー

外壁には主に2種類あります。「モルタル」と「サイディング」です。家の壁がモルタルかサイディングかによって、チェックする箇所も変わってきます。

〇モルタルの場合

モルタルというのは、セメントと砂と水とを混ぜて作る壁材のことです。90年代頃多くの住宅で使用されていましたが、現場で材料を混ぜ合わせて、左官職人がコテで塗り上げる工程が複雑なことに加えて、20日以上の施工日数が必要で、コストがかかるため、現在ではあまり使用されなくなりました。ですが、少し前までは外壁材の主流だったこともあり、塗替えの依頼は現在でも多くあります。

モルタル特有の劣化は、ヒビ割れです。また、チョーキング(指で壁をさわると指に白い粉が付く)が起こっている場合、外壁の塗料の防水効果が薄れてきています。このまま放置しておくと、やがてヒビが入り、そこから雨水などが染み込み更に深刻なダメージを招いてしまいます。

ヒビ割れは目視で確認ができますが、チョーキング現象は壁を触ってみないと分かりません。自宅の壁がモルタルの場合には、一度壁を触ってみて下さい。指や手に白っぽい粉のようなものがついたら、塗替えのサインです。その他にも、塗料の色褪せや変色剥がれ、コケや藻が生えているといった症状も塗替えのサインです。

↑モルタルの外壁。継ぎ目のない仕上がりが特徴的です。

〇サイディングの場合

モルタルに代わって住宅の外壁材の主流となってきたのがサイディングです。サイディングというのは、セメントと木質系成分を混ぜて板状に成形した建築物の外装に用いる人口の外壁材です。中でも主流なのが、軽量で耐火、耐熱性に優れ、新築時の施工が簡単でコストも安い窯業(ようぎょう)系のサイディングです。長期寿命の外壁材とも言われていますが、建物に合わせてカットした切断面から雨水が入ったり、サイディングボードの表面やシーリングの目地割れから雨水が入り込んでボードに反りが生じるなどの劣化が発生することがあります。

シーリングの目地割れ、反り、剥がれなどの症状が塗替えのサインです。サイディングボードに藻やカビが生えてそまっている状態もよくありません。

サイディングの補修は、サイデイング自体を、張り替える、上塗りする、シーリングを打ち直す、などの方法がありますが、どのリフォームを選択するかは、予算と建物の状態をきちんと診断してもらい決めるとよいでしょう。

↑板状のボードを張り合わせているのが特徴です。デザインのバリエーションが豊富です。

ー付帯部の点検ー

〇雨樋(あまどい)

雨樋は、屋根の縁にとりつけられています。屋根から流れてきた雨水が建物の壁などにかからないようにして、外壁などの腐食を防止する大切なものです。もし雨樋がなかったら、雨水が屋根の軒先から直接壁に伝わり外壁内部を腐食させる恐れがあります。また、雨水が直接地面に落ちると、地面に溝ができたり、建物の基礎を不安定にさせてしまうことにもなりかねません。

雨樋は、落ち葉などのゴミが雨樋にたまって詰まってしまい、継ぎ手のシーリングなどが劣化して水漏れを起こしたりします。また、雨水や雪の重みで変形してしまったり、塗装の劣化が進んで腐食したりというトラブルがつきものです。

ゴミなどを取り除いてつまりを解消した後、サビや腐食防止のために塗りなおしが必要です。雨樋の塗りなおしには、足場を組み立てる必要があります。雨樋自体の設置し直しをするにしても、樋だけのために足場を組むのは勿体ないです。ですから、屋根や外壁の塗りなおしのタイミングで、一緒に行った方が効率が良いでしょう。

↑雨樋を下から見上げた様子です。日焼けし、塗装が剥がれれています。

〇破風板(はふいた)

破風板とは、山型の面の屋根に沿って設置されている板のことで、風や雨の吹込みを防止する板のことです。文字通り「風を打ち負かす板」という意味からきています。材質は、以前はほとんどが木質性だったが、耐火性の面で難があることから、近年では金属系や窯業系などが主流となってきています。

屋根は上からの雨風に対しては強い耐性を持っていますが、下や横方向からの防御性は決して高くないため、この破風版が使用されます。それだけに、破風板の部分の塗装の劣化は進みやすく、剥がれなどが起きやすいです。また、破風板は屋根の下にあって、ある意味で装飾的な役割もあるので、くすんでいたり、塗装が剥げていたりすると、建物全体の印象までみすぼらしくなってしまいます。なので、ある程度塗装面のひび割れや剥がれがみられたら、早めの塗り替えを行ったほうが良いでしょう。

↑黄色く囲んだ箇が破風板です

↑破風板アップ